【レポート】採用成功のために、市場の動向を知り、戦略を描こう。(KAIGO HR Seminar「生き残る会社の人材採用戦略」レポート)

 

2018/4/11

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2018年度最初のKAIGO HR Seminarは、株式会社ニッソーネット代表取締役社長 山下吾一氏をゲストにお招きし、「生き残る会社の人材採用戦略」というテーマで開催をしました。

2018年の介護⼈材採用市場のトレンドや、人材サービス会社との関係構築法、外国人介護職受入れの実態と展望といった、福祉業界専門人材サービス会社を経営する山下氏だからこそお伝えできる内容をお話し頂きました。

 

■人材確保を成功させるポイントは、採用活動の“柔軟性”と“組み合わせ”。

介護職員の有効求人倍率は全国平均で4.02倍。(2018年2月時点)
これは、全産業平均の1.58倍を大きく上回っています。

高齢化の進展に伴い、介護人材のニーズはますます高まっていく一方で、介護市場だけでなく全産業の有効求人倍率も高止まりしている現状もあり、人材確保はますます難しくなっていきます。
そのような状況の中で、山下氏は以下の2点を中心に、採用活動を柔軟に行うことが重要であるとお話されました。


•    一つの施策ではなく、様々な施策を組み合わせて実行すること。
•    これまでの採用手法やターゲットに囚われず、新たな層を開拓すること。


採用市場での競争が激化し、労働力人口も大きく変動する中で、一つのやり方で、これまでと同じ手法で人材を採用しきることが難しい時代となっています。
山下氏が紹介してくれた「採用成功のためのポイント」をここでもいくつか紹介してまいります。

 

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■ポイント① 採用ターゲットを広げる

"「ないものねだり」をしても人は採れません。"

日本の労働者人口は、大きな変動期を迎えています。少子高齢化の進展で15歳~64歳の生産年齢人口ー中でも若年人口の減少が進んでいます。「若い人を採用したい!」とだけ自社の採用担当に伝えても難しいのが現実。一方で、既婚女性やシニア層といったカテゴリーでは、就労希望者が増加しているという事実があります。

「いったいどのような層が就労を希望しているのか?」という点をリサーチし、「中高年採用」や「短時間勤務者」といった、これまであまり取り組んでいない層へのアプローチをしていくことで、確保できる人材に広がりが生まれてきます。

求人広告においても、来てほしい人材を絞り、その人材に響くキーワードー「未経験者歓迎」「短時間勤務可」などーを目立たせることで、応募増につながることが考えられます。

また、そうして多様な人材を採用するにあたって、「どのように受け入れることが出来るか?」と事業所内で議論し、受入の体制を整えることも重要であると、山下氏は説きます。

 

■ポイント② 人材サービス会社と上手く連携する

人材紹介を通して、有効に採用ができている事業者は、どのような点を大切にしているのでしょうか。多くの事業者と取引をする山下氏は、そのポイントとして「スピード」を挙げていました。

人材サービス会社の担当者が、優先して紹介をしたくなる事業所は、レスポンスのよい事業者。
よい人材が登録に来て、紹介をしようと思っても、面接や見学の日程が遠かったり、採用担当者との連絡がなかなかつかない…といううちに、よい人材ほど他の事業所で採用が決まってしまう、ということになります。

紹介会社も採用に結びつくことで、収益が上がるシステムであるため、より対応が早く、すぐに選考へと繋げてくれる事業者に優先に人材を紹介することになります。

採用難の時代だからこそ、最優先で対応することが必要。
人材会社から紹介の連絡があった場合、即日or翌日には会える様に調整をすることが理想です。

 

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■ポイント③外国人介護人材活用の実態と展望

技能実習生の受入れの拡大や、在留資格に「介護」が新設されるなど、人材不足が取りざたされる介護業界において、救世主になるのではないかと注目が高まっているのが、外国人人材の受入れ。

一方で、その最新の動向については、なかなか見えてこない部分もあり、「興味はあるけれども、よく分からない」といった方も多いと思います。

そこで、セミナーの中では山下氏に外国人人材の受入れについての実態についても解説を頂きました。

ニッソーネット社が調査をしたところ、介護事業所の約3割は外国人人材を受け入れを検討または実施しているとのことです。その事業所の多くが、技能実習生や留学生に関心を持っているそうです。

そのように注目をされる技能実習生・留学生の受入れですが、「外国人人材の受入れは、確実に日本人よりもコストはかかることは、最初に意識をしてほしい」と山下氏は説明します。

海外からの送り出し機関から手数料・日本語教育の費用・社宅や寮などの生活費・日本の生活習慣の理解を含めた育成コスト…。

様々なコストが受け入れにあたっては必要になります。また原則として同一労働同一賃金があるため、日本人と同じ賃金を支払う必要もあります。昔あった「外国人人材=日本人よりも安い労働力」というイメージのままで考えていると、外国人人材の採用は難しくなります。

人材確保の施策として、外国人人材を受け入れようとするためには、しっかりと体制とコストをかけ、丁寧に準備をすることが重要であると言えます。

 

■柔軟に自社に合った打ち手を考える。

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これから先の時代、これまでの取組を踏襲しているだけでは、どんどん人材確保は困難になります。

  • 採用ターゲットを広げる。
  • 人材紹介サービスを有効に活用する。
  • 外国人人材の受入れを検討する。

上記のような施策を組み合わせ、並行して取り組んでいくべきであることに変わりありません。


“中小の介護事業者においても、様々な工夫を行い、採用に成功している企業は多くあります。
「介護だから採用できないのは仕方ない」とあきらめずに、チャレンジをしてほしいです。”


山下氏はそのようにお話されます。
採用成功のためのポイントや、成果を上げている事例、最新の採用市場の動向を知り、自社として「何に重点的に取り組むか?」「どのような施策が自社にとっては有効か?」ということを戦略的に検討、自社ならではの採用スタイルをデザインすることが重要なのではないでしょうか。

これから先、高齢化が進展する中で、介護サービスは社会を支える「生活インフラ」として、ますますその重要性を高めていくことになるでしょう。そして、日本を追いかける形で高齢化をしていく先進諸国・アジア諸国も日本の介護サービスの進展に注目をしています。

“介護は、日本を代表する産業として成長していってほしい。
そのためにも、一つひとつの事業者が、誇りと自覚をもって挑戦をしていってほしい。”


人材採用・育成に関心を持ち、よりよいアクションを実践しようとする介護事業者に向けて、山下氏はそうメッセージを投げかけます。

“人事が変われば、介護が変わる。”


「人」が何よりも大切な介護サービスだからこそ、その人に携わる人事部門の担当者や経営者が、共に学び課題解決のアクションを起こすことが、求められている。改めて、その思いを強くしたセミナーでした。

(文責:株式会社Join for Kaigo 野沢)

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