資料ダウンロード

介護・福祉事業者のこれからの人材確保の鍵は、変化への対応力。( withコロナ時代の介護・福祉事業者の人事戦略① )

2020/06/08

■ withコロナ時代の介護・福祉事業者の人事戦略

2020年の採用市場は、新型コロナウイルスの流行により、激変の時を迎えようとしています。

右肩上がりの上昇を続けていた有効求人倍率は、2020年1月以降急降下しており、2016年3月以来の低水準となっています。特にサービス業を中心に、新型コロナウイルスによる影響を受けた業界での採用意欲が急速に冷え込んでいる状況です。

この状況は、リーマンブラザーズ破綻により景気が悪化、大量の失業者や就職浪人を生んだリーマンショックとなぞらえて考えられることが多いですが、金融市場への影響が大きかったリーマンショックよりも、人々の行動が制限され、今後の行く末も見えない中で、実体経済に直接影響が降りかかるコロナウイルス禍の方が、より深刻なダメージを経済・雇用に与えるのではないかともいわれています。

新型コロナウイルスとの共存方法を考える必要に迫られた「withコロナ」の時代の人材確保・人材定着のために、介護・福祉事業者は何を考え、実践すべきか。

「withコロナ時代の介護・福祉事業者の人事戦略」というテーマで、複数回にわたって考えてみたいと思います。

□「withコロナ」の時代に採用市場は大きく動く。

「withコロナ」の歩み方を考えるにあたり、大前提として押さえておきたい視点は、「変化への柔軟性・対応力」です。

新型コロナウイルスの感染拡大と、感染予防のための生活様式の変化は、わたしたちの生活・仕事に、それらの根本にあるわたしたちの価値観に、大きな変化をもたらしています。

これから先、新型コロナウイルスと共存しながら生活し、働いていくために、これまでの「当たり前」は必ずしも通用しなくなり、新たな様式がどんどん生まれていくことになるはずです。

そんな中で求められるのは、不確実な状況の中で、どのような変化が生じ、何が求められるのかを常に考え、状況に応じたアクションを打ち続けていく柔軟性・対応力です。

新型コロナウイルスの感染の影響により、雇用市場にも大きな変化があると考えられます。

具体的には、以下のような変化があるのではないかと考えています。

  1. 景気の悪化:感染リスクを避けるため、飲食・観光・交通・娯楽などの業種の業績が悪化する
  2. 労働の変化:テレワークの一般化、機械化・AI化など、働き方に変化が生じていく(一部で人の仕事の機械化が加速)
  3. 雇用市場の冷え込み:業績悪化による事業縮小、閉店、倒産などにより、新規雇用の抑制やリストラが進む
  4. 都市集中の緩和:感染リスクの回避から、大都市集中の状況が一部緩和、ローカルでの求人意欲が上昇する

これらの事象が進む中で、「withコロナ」の時代では、これまで採用が活発だった領域での採用意欲が減退、その一方で採用意欲が上昇する領域も生じてくるはずです。

もちろん、求職者の属性や、仕事に求めるものも、大きく変化し始めています。

そのような中で、コロナウイルス禍の前も後も変わらずに人材採用に積極的な介護・福祉事業者が、採用で成果を出していくためには、何が必要なのか。市場や求職者の動向変化をしっかりと把握し、自社の採用活動や組織のあり方を「withコロナ」の時代に合わせてアップデートしていくことが何より求められています。

■介護・福祉事業者の採用活動に求められる変化

では、「withコロナ時代」に、介護・福祉事業者の採用活動で意識すべきことは何か?

私は特に3つのポイントがあると考えています。

  1. 採用活動のWEB対応:急速に進む採用・就職活動のWEB化に対応し、WEBでの採用PRや選考のWEB化を進める
  2. 求職者・職員の不安解消:「密」を避けられない状況や、行動制限下でもサービス継続が必要な介護・福祉の働き方の中で、従業員の負担軽減やリスク回避のために必要な策を講じる
  3. 戦略的採用活動の実践:雇用市場が冷え込み、介護・福祉業界への一定数の人材流入が見込まれる今こそ、「誰でもよい採用」から、自組織の魅力・想いを伝え、自組織にマッチした人材を採用できる戦略を練る

いずれも、「こうすれば必ず成果が出る」といった正解があるものではありません。自組織の現在の組織の状況や課題、これから目指していきたい目標によって、自分たちなりにアレンジしていくことが求められます。

これからの時代に生き残る組織は、これまでの成功例にとらわれすぎず、社会の変化に敏感に対応しながら、自分たちの組織を常にアップデートできる柔軟性を持った組織なのではないかと思います。

本連載では、大きな変化を求められる新たな時代に合わせ、前向きな変革を進めようとする介護・福祉組織の皆さんにとって、考えるヒントになれば幸いです。

次回は、「新型コロナウイルスによる労働市場の冷え込みは、介護・福祉業界の人材確保にプラスにつながるか?」という点について考えてみたいと思います。

【無料相談会】介護・福祉事業者の採用・育成・定着に関する相談会開催のご案内

【この記事を書いた人】

野沢 悠介 株式会社Blanket取締役

1983年生まれ。東京都出身。立教大学コミュニティ福祉学部卒。ワークショップデザイナー。2006年株式会社ベネッセスタイルケアに新卒入社し、採用担当・新卒採用チームリーダー・人財開発部長などを担当。介護・福祉領域の人材採用・人材開発が専門。2017年に参加してKaigo取締役に就任。介護・福祉事業者の採用・人事支援や、採用力向上のためのプログラム開発などを中心に「いきいき働くことができるできるできるできる職場づくり」を進める。